阿部正弘 日本の国論 まとめる努力

 阿部正弘にまつわる見延典子の「敗れざる幕末」を読んだ。福山藩の関藤籐陰の活躍を書いた本であるが、藩主の阿部正弘の側要員の役目をした人で、阿部正弘の業績が書かれている。

 開国に及んで、外様大名から庶民に至るまで意見書を出させた。勝海舟の意見など見所あるものは取り立てた。

 27歳で老中首座につき、38歳で亡くなっている。幕府の主流派は何もしようとしない中、水戸藩薩摩藩など尖った勢力を取り込み実効性のある政策を探った。財政立て直しのために北海道から、樺太、国後択捉まで福山藩を始め、数藩の調査隊を派遣するなどし、関藤籐陰も2年に渡って調査をしている。

 井伊直弼が力で状況を押し切ろうとしたのと対照的である。